朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
そうと決めると、部屋に閉じこもっているのが途端に退屈に感じた。


元々活発な性格なのに、数週間も大人しくしていたのがそもそも奇跡に近いのだ。


柚は宮内を探険してみることにした。


とはいっても、柚が自由に歩ける場所は限られている。


広大な敷地ではあるが、女が夫以外の男にむやみに顔を見せることは恥とされているので、女は北奥の後宮と呼ばれる場所に集められ生活している。


そこから出て天皇の政務所である紫宸殿などに行くことは禁止されていた。


 そこで、柚はある突飛なことを考え付いた。


それは男装して乗り込むという作戦だった。


由良にこの作戦のことを告げたら反対されることは目に見えていたので、女物の服は動きづらいから男物を用意してほしいと言った。


由良は渋い顔をして一端は却下したが、柚がどうしてもというので、結局は折れて用意してくれた。


まさか柚が男装して敷地内を探索しようと思っているとは夢にも思っていないので、意外とすんなり事が進んだ。
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