エンドレス・ツール
「ああ、言ってなかった。あいつ、来年から東京の大学に編入するんだよ」

「……え?」


あたしは頭が真っ白になって、言葉の意味がわからなくなった。


「編入って、普通一年と二年の間にするもんやないの?」

「それなんだけどな、三年からでも編入できるとこ見つけたらしいよ。高校の時から東京に行きたいって言ってたからな。あそこには夢が詰まってるんだとよ」


ケイゴくんの話に、なつも直感したと思う。


翔さんは、始めから元カノの元に行くつもりだったんだ。


「璃里香……」


さっきの表情から一変、なつが泣きそうな目をしてあたしを見てくる。


あたしは力無く笑った。


「なんだ……。結果は目に見えてたんだね」

「璃里香ちゃん、翔の勝手で巻き込んで、本当にごめん。俺も、止められなくてごめん」


ケイゴくんが床につきそうなほど頭を下げて土下座してきた。


「ケイゴくん、やめてください。ケイゴくんは何も悪くないんですから。悪いのは、翔さんを煽ったあたしなんですから。……誰も悪くないんですから」


そう。悪いのは、翔さんをここまでしたのは、紛れも無いあたしだったのだ。


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