エンドレス・ツール
翔さんの家から自宅に戻った時、時刻は九時前だった。


「ただいまあ」

「りり~っ!!」


家の玄関に入るなり、兄貴が抱きついてこようとしていた。


抱きしめようとしたらしい兄貴の両腕を両手で受け止める。


「朝から不純すぎ。この不純兄貴。さっさと仕事行け」


よく見ると、兄貴はスーツ姿だった。


「昨日心配したんだぞ~。男の家か? 何かされたか?」

「昨日ちゃんとメール入れたでしょ。心配しなくても何もされてないから安心して」


あたしが翔さんに何かしようしたことはあったけど。


「慶汰はちゃんと学校行った?」

「行った。彼女とうまくいってるらしい」

「え、あの時間魔の彼女? 慶汰に扱えるかなあ」

「俺はいつでも絶好調」

「兄貴のことなんか聞いてない。不純だから仕事行け」

「不純不純って、さっきからひどいなー。まあ、もう行くけど」

「行ってらっさい」


玄関で出ていく兄貴を見送った。


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