恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*
5..mission5

騒ぐ胸の理由



「うわぁ……、朱莉がへこんでる。

異様な空気出てるけど大丈夫?」


登校してきた仁美が、あたしを見るなり顔を歪めた。


結局今日も早く登校して机に突っ伏して。

プラスして異様な空気が出てるらしいあたしは、きっと誰が見ても落ち込んでいるのが分かると思う。


「なんか、角田の浮気以来の落ち込みようだね」


『角田』

聞きたくない名前も、今日は耳を通り抜けていく。


「今日も朝から生徒会長かっこよかった~」

「相沢先輩でしょ? もうたまんないよね~! あの顔も声もっ」


―――それに比べて。

『生徒会長』
『相沢先輩』

違うグループで交わされてる話題なのに。


選び取ったように先輩に結びつく言葉だけが耳にまとわりつく。

耳障りなくらいに、頭に響く。



< 133 / 364 >

この作品をシェア

pagetop