恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*


あたしくらいの髪色の生徒でごった返す中だったら、見つけられる可能性は低いだろうし……。

背中向けてればきっとバレない。


……別に、隠れる必要なんかまったくないんだけど。

悪い事なんかしてないし、避ける理由もない。



だけど……。

だけど。

今、先輩を目の前にしたら……、きっと、バレちゃう。


沢田先生に持っていた気持ちよりも、大きく育ってる気持ちに、気付かれちゃう。


「朱莉? 何やってんの?」

「しっ! ちょっと静かにしてて!」


顔をしかめる仁美と山岸に、必死に言う。


『次会ったら普通にする』

そう決めていたハズなのに……。

こんな廊下の隅に逃げる自分が情けなくなる。



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