恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*


……本当に諦められたらいいのに。


今、こうして歩いてる時でさえ、すれ違う事を期待してる。


そんな自分を知ってるから。

どれだけ好きなのか、毎日のように思い知らされてるから。


諦めたいなんて無理だって分かってるけど……、でも、思わずにはいられない。


こんなバカみたいな期待も、会えないもどかしさも何もかも。

今、あたしのほとんどを支配してるこの感情を全部、手放せたらいいのに。



頭に浮かぶのは、先輩の涼しそうな微笑み。

優しくあたしの名前を呼ぶ声。


今ここに先輩はいないのに。

頭の中にいる先輩が、胸を締め付けて息苦しくさせる嫌がらせをする。




あたしの中から出て行ってよ。

お願いだから―――……。










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