恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*


そもそも、嫌いだから、むかつくの?

むかつくから、嫌いになるの?


……どっちが先なんだろ。


「嫌いじゃなければ好きか、じゃない?」

「……は?」


予想もしてなかった事を言われて、思わずマヌケな声が漏れた。


「好きって……、だって好きならムカつかなくない?」


聞くと、仁美が肩をすくめて首を振る。

まるで“わかってないなー”とでも言いたそうに。


「角田が浮気してた時、ムカついたじゃん」

「それは……、そうだけど……」


確かにあの時は、角田が好きだったから浮気されてムカついたし、凹みもした。


でも、毎日毎日、相沢先輩にイヤミを言われてるうちに、いつの間にか角田の事を忘れていって。

今となっては、角田の代わりに、先輩がイライラの種になってる。



< 76 / 364 >

この作品をシェア

pagetop