恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*
あたしに見せる顔は、きっと、先輩の中のほんの一部分でしかない。
そう考えると、先輩の事を全然知らない気分になって、なぜだか、気持ちが落ち込んでいく。
ゆっくりゆっくり、堕ちていく。
嫌いって感情は、もっとも好きに近くて、何かをきっかけに、あっという間に入れ替わる。
……なんて話は聞いた事あるけど。
『きっかけ』
例えば
神様が10人分くらいの時間をかけて作り上げたような、それはもうきれいなあの整った顔とか?
例えば
聞いてるだけで、脳から溶け出しそうになるほど甘いあの声とか?
例えば
胸がぎゅっと苦しくなるような、どこまでも追ってくるキザなセリフとか?
それがきっかけで『嫌い』が『好き』に……?
そんなの……、ありえない。