恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*


謝ると、「ああ」って笑った先輩が、あたしを見つめた。


「次の授業は自習だから大丈夫。

それにたまにはこうしてゆっくりするのもいいしね。

……正直、生徒会の仕事が忙しくて少しまいってたんだ」


左手で前髪をかきあげながら言う先輩を、びっくりしながら見つめる。

意外な弱音に驚いて、先輩も同じ高校生なんだって事を今更確認する。


いくら完璧に見えても、いくら涼しそうな顔をしていても。

目の前で少しだけ微笑む先輩は高校生で、当たり前だけど、スーパーマンだとか、そんな特殊な能力を持ち合わせてる訳じゃない。


毎日毎日、朝早く登校して生徒指導。

毎日のようにある教師からの頼まれ事。

日々の学校生活や行事を円滑に進めるための準備、司令塔としての役目。


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