重なる身体と歪んだ恋情

佐和子の用意した車で帰れば、


「お帰りなさいませ、今夜は白檀ですね」


嫌味しか口にしない。

屋敷に帰ってきたのだから褒めてもよさそうなものだろう？

そんな彼に桜井の馬鹿義兄のことを教えてやった。

佐和子から聞いた噂話も一緒に。

きっと彼は桜井の家を訪れるだろう。

あの家のことはもう如月に任せておけばいい。

夜になっても雨は止まない。

きっと明日も雨だろうと思うと憂鬱で仕方なかった。