重なる身体と歪んだ恋情

その中から小さな紙が落ちた。

千紗はそれもゆっくりと大事そうに拾って。

あの男からの恋文か?

それならば今すぐにでも奪って千々に裂いてやりたい。

そんなくだらない衝動を抑えながら彼女の言葉を待っていると、


「お祖父様……」


と思いもしない名前を千紗は口にした。

お祖父様?

一体どういう――?

不思議に思っていると千紗がゆっくりと顔を上げる。

彼女の手の中には小さな手紙と焦げた銀のロケット。


「見ても?」


そう聞くと千紗は小さく頷いてそれらを私に差し出す。

小さな手紙には綺麗な文字が。

『もしも私が先に逝くことがあれば、それからは自由に生きてください。君に或る女を。』

多分、遺言。

いや、遺言と言うより妻に対する恋文のように優しい言葉だ。

そして銀のペンダントには古ぼけた写真。

小さくて誰かも分らないほどだが幸せそうに笑っている二人の姿が。

さらに蓋の裏側には、

『Smile for me.』

こんな文字が刻まれていた。
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