星に願いを
兄貴から告げられた真相は、信じられない話だった。


そんなことがあっていいのか。とにかく悲しくて仕方なかった。


後にも先にも、あんなに泣いたことはなかったと思う。


彼女のことを思ったら、少し手紙を読むのが怖かった。


でも――



『すぐに忘れるさ』



俺は兄貴の言葉を思い出し、無性に怒りを覚えた。


だから手紙を読んだ。


そしてこれからずっと彼女を忘れないように、彼女のことを思って生きようと。


苦しいことがあっても、耐えようって。





幼かった俺の密かな決意。





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