星に願いを
どうやって悠にこの事を告げようか。


帰路につく間考えていた。


まだガキの弟にはわかるだろうか。





10歳違いの弟が日頃苦しんでいることは何となくわかっていた。


しかし、大学在学中にも関わらず既に会社の一員として働いていた俺には、弟に目をかける余裕はなかった。


あいつは今、彼女に会えなくて辛い想いをしている。



両親は長い間海外を行ったり来たりで、悠の事を気に掛ける大人も周りにはいない。


俺だって半月後にはアメリカに行かなければならない。


いつまでも悠をこのまま埋もれさせておくわけにはいかなかった。


将来、漆原を背負って立つ人間として成長してもらわなければ。




創は決意した。


真相を告げることを。


そして全てを忘れた方がいいと言うことを。





告げた時の悠の顔は、今でも脳裏に焼き付いている…。
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