魔法都市

奏のせいではないと首を振る
碧人が奏を見る目は娘である朱理を見るような感じだ

「いつ頃動きそうだい?」

「それはなんとも…。あの様子だと研究も実験も未だやってるはずだわ」

「そうか…」

碧人自身、あの忌々しい事件を知っていたが加担することはしていない
黒羽研究機関が黒魔法のことについて調べていたことも何をしようとすることも知っている

事件前に研究から抜けていたため事件の容疑はかかっていないが罪の意識くらいはあった

「お嬢さんにはほんとに申し訳ことをしたと思っている。あの事件に巻き込んでしまったことを…だからっ」

「碧人さん」

碧人の言葉を遮り真剣な表情になる奏
ここへ来るたびに謝罪を何度も何度もしてくる

いくら加担していないと言ってもやってはいけないことをしていることくらい自覚はしている
そんな碧人に語り掛ける

「あたしはアナタや朱理があの事件に関わってる関わっていない関係無しにあの女だけは許せないでいる。首謀者は黒羽百合華本人なんだもの」

「…………」

「それに、アナタたちだって実験対象になっていたのよ?」

「ああ…」

奏に言われ、俯く碧人
異能者実験の対象は能力者、魔法使い

もちろんチカラを持っているものならば誰でもいい
だから能力者である朱理や碧人も対象になる
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