色恋
そしてタクシーを素早く止めて

龍と女は車へ乗り込み

ドコかへ走り出して行った。



「リュッリュッッ龍サン!?
何やってるんッスカ?」

「龍さ〜ん!!!」

「待って下さい!!」

一部始終見ていた新人ホスト達が
タクシーを追いかけたが


時すでに遅し


「はっ!!」
3人が慌てて海斗の方を見ると

案の定、気が動転していて
信号の真ん中で立ち止まっている

「…キャッチか?いや。龍は
キャッチする必要ないし…。
そもそも何故に汚い
ホームレスみたいな女と
逃亡したのか…?

実は美人なのか?
いや。龍は女に困ってないはずだ
それとも
仕事が嫌になったのか?」

両手で頭を抱えて
独り言を言い出す始末だ

新人3人は海斗のデカい
リアクションに
飽き飽きしている面持ちで
「海斗サン!!
信号赤になりますよぉ〜!!」
取り乱してる海斗を
歩道に連れ戻す。


「龍サンは、あの女と
知り合いなんですか?」

「顔が見えなかったから
わかんねーけど、ホームレスに
知り合いは居ないはずだ。」


海斗は龍に電話する


…‥様のおかけになった電話
番号は電波のッッ…プチッ


ツーツー


「電源切ってやがる。」
苛立っている海斗をよそに
新人達は興奮気味だ。


それもそのはず
普段からクールで大人しい龍の
あんな「アツイ一面」を
見たのだから

心配していると言うよりも
驚きの方が大きいらしい。

「龍サンやっぱスゲェー!
さすがNo.1はヤル事が違うなぁ」

「ひとめ目惚れでもしたとか?」

「運命の出会いだとか?」


「そんな訳ねーよ!!」
海斗の一言で3人静まる






そして心の中で呟く





龍はもう2度と
人を愛せない奴なんだから
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