ねぇ、好き。上

お兄ちゃん


「あ、遅かったな」

と、凛。


「あ…ちょっとね」


「ふーん」


「…」

何でも、お見通しですーって顔。



「で、昼間の続き。好きな奴いんの?」



「…今日…彼氏できた」



「はぁ!?誰だよ!?」
どうして、そんなに怒ってるの?



ドン!









痛っ…!




あたしは、気付くと凛に壁に押し付けられていた。
逃げられない…




「なぁ、誰だよ?言えよ!」
凛、声が怖いよ…。
顔が怖いよ…。










「…幹也くん」






「は?意味わかんねぇー」





「…」
どうして、意味わからないの?
本当は、あたしが聞きたいよ…。



「何で付き合った?結局、幹也が好きなのかよ?」


「理由は…試しでもいいから付き合ってって言われて…。謝ったけど、諦めてくれなくて…付き合ったの」



「なんだそれ…。断った理由は?」


「言わなきゃダメなの?言ったら、凛も、好きな人教えてくれる?」


断った理由なんて、言えるわけないじゃん!!

凛が好きだから…なんて、言えないよ…。




「…」


「ほら、凛は言わない。ずるいよ。そんなの!」


「…」



どうして、黙るの?

あたしは、凛が好きなのに…

大好きなのに…


幹也くんを利用してるのわかってる。

だけど、そうでなきゃ…あたしの心は壊れてちゃうよ…。

ねぇ、気付いてよ…。

あたしの気持ち、知らないくせに…。


「幹也のこと、本気で好き?」


本気…じゃないよ。


幹也くん、ごめんね…。



「凛のこと、本気で好き」


って、言えたならどんなに楽だろう。




だけど、言えない。



凛は、あたしのこと好きじゃない…。


千尋のことが好きなんだ。


千尋も、凛が好き。



あたしは邪魔なの。
いらないの。
必要ない子なの。


だったら、あたしはあたしを必要としてくれる人のところに行く。


だって、あたしを必要としてない人のところにいても、辛いだけだから。




「…うん…」

違うのに…

凛が好きなのに…


「…そっか」


「…」

どうして、泣きそうな顔してるの…?


















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