ねぇ、好き。上
☆凛saide☆
「あ、遅かったな」
「あ…ちょっとね」
「ふーん」
さっきまで、幹也といたくせに…。
「…」
「で、昼間の続き。好きな奴いんの?」
「…今日…彼氏できた」
幹也か…?
アイツ、桃のこと可愛い可愛いっつってたもんなぁ。
俺は、桃を壁に押しつけた。
ドン!
と、部屋に音が響く。
「なぁ、誰だよ?言えよ?」
幹也…ではないことを、願いながら言う。
「…幹也くん」
やっぱりな…
「はぁ?意味わかんねー」
「…」
「何で付き合った?結局、幹也が好きなのかよ?」
「理由は…試しでもいいから付き合ってって言われて…。謝ったけど、諦めてくれなくて…付き合ったの」
そういうことか…。
幹也、諦め悪いもんな…。
だけど、無性に腹立つ。
腹立って、桃に八つ当たりして…
俺って、最低な奴…。
「なんだそれ…。断った理由は?」
「言わなきゃダメなの?言ったら、凛も、好きな人教えてくれる?」
「…」
俺、好きな人いねぇし。
まぁ、みててドキっとする奴はいるけど…。
「ほら、凛は言わない。ずるいよ。そんなの!」
桃は怒る。
頬は赤く、泣きそうな顔で…。
きっと、またアイツに殴られたんだろ?
大丈夫か…?
そう言いたいけど、こんな状況で言えない。
「幹也のこと、本気で好き?」
「…うん…」
本当かよ…?
違うだろ…。
だけど、それ以上何も言えなくて…
「…そっか」
「…」
きっと、俺は今暗い顔をしているだろう…。
なんなんだ。このモヤモヤする気持ち…。
すっげぇ、腹立つ。
イライラする…。