ねぇ、好き。上


ボォォー…






「…きゃっ」






「風の音だって」





「…ねぇ、やっぱ嫌だぁ…怖い…」





「なぁ、頑張ったら景品あるらしいぞ?何だろうな?」





「け、景品…?」




「おう」





「そ、そんなのいらない…。あたしには、凛だけで十分だよぉ…」





「…もうすぐだぞ。頑張ろうぜ」






「…」




ぎゅっ。





あたしは、凛を抱きしめた。










「オーバーケだぞぉー!!」









後ろから声がして、後ろを振り向くと…







「…っやだ!やだぁあぁあぁ…もうっ、嫌だっ!怖いよぉー…!お化けの…ばかっ!!」





「おい、泣くなよ。大丈夫だって。それに、お前…お化けにばかってさっ…」




何、笑ってるの!?

こっちは、必死なのにぃー…






「凛、降ろしてー!」





「一緒に歩くか?」




「違う!帰る」



「待てって!じゃあ、走るぞ」



凛は、あたしを降ろして手を引っ張って

走った。
< 203 / 275 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop