ねぇ、好き。上

桃花の過去

中2の頃…、
大好きな友達に裏切られたんだ。
あたしは、本当は双子。
だけど、妹の姫花は病気で亡くなってしまった。
妹と言ってもあたしたちは双子。
唯一姫花が心を許せる存在だった。
家族なんだけど、親友みたいな感じで…。
あたしも姫花も何も言わなくてもお互い心が通じ合ってるから
辛いことがあったら必ず相談してた。
だけど、もう姫花はいない…

あたしの友達だった、内田香乃とは
姫花もあたしも仲が良くて、よく3人で行動していた。


お葬式に来るように香乃や他の友達にも言った。

お葬式が終わって、翌日に学校に行ったら…

「桃花、姫花がいなくて辛いでしょ?」
どうして、姫花の話をするの?
あたしは、今すごく辛いのに…

「うん…辛いね…」

「ウチさ今だから言えるけど、姫花のこと嫌いだったんだよねー」
…は?

姫花のこと、嫌い…だった…?

「なんか名前がムカツクって言うの?何が姫だよ?アイツなんか全然姫みたいじゃなかった。あと、性格無理だし。きゃははは」
名前がムカツクとか、どういう意味?
意味わかんない。

姫っていう漢字が入ってるから、姫だと思ってたの?
どんだけだよ…
性格無理なら、一緒に行動なんてしなくてもいいのに…

ていうか、香乃がそんなことを思っていたなんて…

「姫花さ、視力がだんだん低下していった時あったでしょ?あの時、マジ迷惑だった」



確かに、姫花は視力がだんだん低下していって
結局見えなくなってしまった。
それで、香乃とあたしで姫花を支えていた。

『私、目が見えなくなるの怖い…。姫、死にたくないよぉー…』
姫花は、自分のことを姫と呼んでいた。
でも、自分のことをお姫様だとは思ってないと言っていた。

『大丈夫だよ。姫花は絶対死なないよ?』

『香乃…。ありがとう…』

『そうだよ、姫花。諦めちゃダメだよ?姫花、あの約束覚えてる?』

『桃花…、おぼえてるよ』

『うん!あたしたちは、大人になってもずっと仲良く助け合っていこうね。一緒に生きて行こうねって』

『うん!大丈夫よね?』

『大丈夫だって』

『桃花、香乃、ありがとうっ!姫、頑張るね』



「あの友達ごっこ、マジ無理。どうせ、頑張っても無駄なのに頑張るとか、無駄な努力なんかしても意味ないのにさ。アレは、ウケたなぁ」

何…それ…
姫花は命が短いのに、頑張ろうとしてたのに
香乃はそんなこと思ってたの?

友達ごっこ…?

「ごっこって何?」

「友達ごっこ。友達だと思ってないよ。ウチは。もちろん、姫花も桃花も。
アンタら2人とも嫌いだからさ」

びっくりしすぎて、声も出ない…

あたしのことも、嫌い…?

そうなの?
どうして?
なんで?

だって、あの時…

『ウチ、桃花も姫花も大好きだよ。親友って思ってるからね!』
香乃…
あの時の

あの言葉は

あの笑顔は

全部、全部、ウソだったの…?

「…どうしてウソついたの?」

「ウチ、嫌われてたんだ。だから、絶対友達がいればターゲットにはならなくて済むと思った。だから、ウチは姫花と桃花に目をつけた。桃花も姫花もみんなに嫌われてたけど
いじめられてはいなかった。
だから、ウチもその2人と友達になればウチも安全だと思った。ウチは、2人の味方だと思わせて自分を守ったの。2人ともいい材料だった」

嫌われてた…?
ターゲット…?
いじめ…?

安全?

味方だと思わせていた…?




2人とも、“いい材料”だった?


香乃は、嫌われてたの?
あたしたちも嫌われていたの?
みんな仲良くしてくれていたのに?

みんなもあたしと姫花をだましていたの?
みんなの言葉も、笑顔も全部ウソだった。

あたしの学校で、いじめなんかあった?
確か、なかったはず…だとは思うけど…



香乃は、あたしと姫花を材料としかみてなかったの?
あたしたちは、いいように使われていたの?



香乃の行動も全部、計算だったってことになるの?














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