サワーチェリーパイ
「何落ち込んでんの、お前」
「うるせぇ……」


そのままマンションに向けて走り出そうとする陽生の肩をつかみ、晴斗は自分に顔を向けさせる。


「泣いてんじゃねえよ、な、俺ン家来い。メシ食わせてやるから」
「晴斗ぉ」


胸の中に顔をうずめて泣く陽生の背中に手を回し、なぐさめる様になでていると、背中の中央に変な感触があるのに気付く。


そう、それはブラの留め金。


『うっ、ハズしたい。
 ってかそれやったら、
 俺変態扱いじゃん。
 いや、これはチャンス
 かも知れない。神よ!
 この留め金をハズして
 いいものでしょうか』


などとバカな問答を、妄想教会の十字架の前で繰り広げているうちに、陽生の涙は止まり、体が離れて行く。


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