サワーチェリーパイ
「純愛がしたいの、純愛。Hはその後」


自分はあの3人とは違うと、晴斗は声を上げる。


「お前の考えはよく分からない、女子中学生みたいだぞ、その台詞」
「うるせぇ! 」


2人の声が大きくなって行き、気づいた磨朝が席にやって来る。


「ハルちゃん、かわいそうにねえ……」


その表情から心から同情を寄せられているのが分かり、晴斗はションボリした。


「磨朝ちゃーん」


油断している磨朝に抱きつこうとして、虹太がトレーで引っぱたかれる。


「同情してるのはハルちゃんよ」
「俺、やっぱダメだな」


1人呟く晴斗の目の前に、マスターがサワーチェリーパイを置く。


「これでも食って、青春の甘酸っぱさを知れ」
「ありがとうございます」


ヤケの様にフォークを取り、本日2個目のパイを口に押し込み始める晴斗であった。

< 23 / 293 >

この作品をシェア

pagetop