サワーチェリーパイ
「駿府、何してんだ? 」
「勉強、再来年にはもう入試だからね。君こそ、どうしてここに? 」
「コーヒーがうまかったから、それに出かける前の食事」


晴斗は超能力者になった気分で駿府と話をしている陽生に向けて念じる、


『ここに来い、ここに来い、ってか来るんだぁぁ! 』と。


思いが通じたのか、コーヒーを受け取ると陽生はカウンターからボックス席に移動して来た。


「そこいいか? 」
「どうぞー」
「welcome! 」


胸の中で、嬉しさのあまり百回バク転を繰り返す晴斗。


そんな彼の胸の中を知るはずもなく陽生は、駿府の目の前の席に座り、参考書をのぞき込むと、首をひねる。
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