わたしの小指にみえるもの
見えない糸
「もしもし?うん。今から?…」


そう言って私をチラッと見た目の前に座っている彼。携帯から聞こえてくる女の声。


「行く行く!今、一人だったんだよね」


ちょっと、今デート中ですけど!?
普通、彼女の前でそんなこと言う?
カフェテラスでカフェオレを飲みながら
キッと彼を睨み付けていると、


「じゃあ、またあとで」


と、彼は携帯をパタンと閉じた。


「翔くん、今からどこか行くの?」


「ごめん、結愛。部活の先輩達とカラオケ行ってくる。また今度デートしような」


私の頭をポンポン叩き、「大好きだよ」と彼はささやくと、笑顔をみせ席をたつ。


電話の相手、女だったでしょ。
遠ざかっていく彼の背中。


でも、浮気だなんて思わない。
だって翔くんはいつも私に「大好き」とか「愛してる」って言ってくれるから。
どこか遠くに行っても、必ず帰ってくると信じてる。


初めて恋をして、初めて想いを伝えて
初めての彼氏だもん。
きっと翔くんが私の運命の人。
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