わたしの小指にみえるもの
「そういえば、結愛」


食堂でうどんをのせたトレーの前に座っている希夏が橋を割りながら言った。


「昨日、塚野先輩見たよ」


「ああ、居残りしてたでしょ?」


私はそう言いながら、うどんにのっていた、かまぼこを箸でつかんだ。


「え?女の人と一緒に帰ってたよ」


思いもよらない言葉に思わず箸でつかんでいたかまぼこを落とす。
うどんの上でチャポンっと音をたてた。


「そ、そうなんだ」


きっと帰りが一緒になっただけで、特別な人
じゃないんだ。
そう自分に言い聞かせた。


「どうしたの?麺のびてるよ」


希夏の言葉に我にかえる。


「ホントだ」


もやもやした気持ちで食べるうどんは、麺がのびているせいか、あまりおいしくなかった。
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