星に願っても…。
現実(ユウside.)
「矢野ユウヤ様。刑事というお仕事をされているあなたにひとつ頼みごとがあります。」
俺の頭はいっぱいいっぱいだ。
「この封筒の中にはUSBが入っています。そのUSBにはあなたの前から姿を消した仲島リナのすべてが入っております。頼みというのは後日、私から直接お話しさせていただきたいので、お手数おかけしますが私にお電話していただきたい。その封筒の中に私の連絡先も入っております。」
そのとき終電がホームに滑り込んできた。
「あぁ…。電車が来てしまいましたね。本日は突然、申し訳ありませんでした。では。」
篠咲という男は俺に封筒を渡し去って行った。
なにが起きたのか分からない。頭の中は意外にも真っ白という訳ではなく、昔の記憶でいっぱいだった。
封筒を片手で持ち、もう片方の手で鞄を持った。
電車に乗り込み、無気力に椅子に座った。
今日は酒臭い若者も、サラリーマンも気にならなかった。
なぜ、俺は篠咲という男を引き留め、リナのことを聞かなかったのだろう。
なぜ、いつも通り電車に乗り自宅へ向かっているのだろう…。
なぜ…。泣いているのだろう…。