星に願っても…。




「おいキラー。」





知らない。トワなんて知らない。どっか行け。





声のするほうに背を向け心の中で念じる…。





「ごめんってー。」





私の部屋の外からトワは私に「ごめん」って言う…。






その理由は私が怒っているから。




私が怒っている理由はひとつ。私が休みの日に店を開けてサンドウィッチまで作ったやったというのに…。




イタリアンの店は定休日。フレンチの店は移店しました。和食も予約でいっぱい。その他も定休日とかなんやらで…。


居酒屋でさえ諸事情によりお休み。




で、結局コンビニのおにぎり。いや。そりゃコンビニを否定するわけでもケチつけるわけでもないけれど!!



おかしいでしょ!!休日に仕事をした私への報酬は?!






ないんですかーーーーーー!!!






これが、私の怒っている理由。







「ごめんって!また今度連れてくからさー。」








「そんな心のこもってない謝罪はいらない!!」








ガチャ






「ほら。これやるから。」






「勝手にはいってこな…え?」






首にはひんやり冷たい感覚。




私の首には、窓から差し込む月明かりをうけ優しく光る星が一つ。






「どぉ?」





どぉ?と聞きながらも、少しドヤ顔のトワを見て私の口元は緩んだ






「なに?いきなり。」






ほんとにいきなり。



なんでネックレスなんて持っていたのか…。





誰かからのもらいもの?それとも、誰かにあげるつもりだったの?





「ほんとは誕生日に渡すつもりだったんだけどな?」





「誰に?」






「は?誰にって…。キラに。」







「誕生日って…。」






「まだ3か月も先だけどな?」






「ふふっ。なんで3カ月前から用意してるの?」






「いいの見つけたからさ。キラ、好きそうだなと思って…。限定品っていうからすぐに買った」





「ふーん。」





私の好きそうなものを分かってくれているということが妙に嬉しくて、でも照れ臭くて…。






「で、気に入った?」






「うん。気に入った!」






そう言った私を見てトワは笑った。





「え?なんで笑うの?」







「いや?単純だなぁと思って」






「へ?」






「キラさ、今、怒ってる?」






「あ…。うん。」





今日の仕打ちを思い出した。



散々だったんだ…。




「ばーか。満面の笑みだっただろーが。それでも怒ってんの?」






「うーー……。怒って…ない。」





「よし。」





また負けた気がして悔しかった。






「それ、大事にしろよ?」






トワはそう言って私の髪をくしゃくしゃにして部屋を出て行った。





バタン







「ありがとう。」






星の形を指でなぞってみたり、月明かりにかざしてみたり…。





今日の報酬はこれなのかな?






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