星に願っても…。
第四章

犯人(ユウside.)




カランカラン




「いらっしゃいませ。あ、ユウヤさん!」





あれから数日たってまたあの店に行った。



そこにはやっぱり、リナの笑顔があった。





「どうも。また来ちゃいました。」






「え?キラちゃん!誰?誰?」






今日は俺の他にもお客さんがいるみたいだ。






「今日も相変わらずガラガラなんで、好きなとこにどうぞ。」







今日は最初からカウンターに座ることにした。






「今日はどうしたんですか?」






リナはそう言いながら水とコースターを慣れた手つきで俺の前に出した。






「今日はって…あははっ、失恋じゃないからね?」






「あ、すみません。」




そう言いながらリナは笑った





「反省してないでしょ?」





「あ、はい…ふふっ」










それからも、他愛もない会話をずっとしていた。




店に入った時、「え?キラちゃん!誰?誰?」と言っていたハナちゃんという女の子とも話した。



ほんわかした雰囲気の子だった。






「あ、そろそろ帰ろうかな…。」




もう、1時間もたっていた。




財布を出そうとしたとき、





「ちょっと待ってください。お代はいただけません。この間のお礼です。」





リナがニコッと笑った。





「ダメダメそんなの。悪いよ」





「いえ。お礼させてください。」





「じゃぁ…。また来るから、その時また話聞いてよ。それがお礼で。だから、ちゃんと払わせてください」





「えぇ?」





リナは困ったように眉を八の字にした。





「客の言うこと聞けよー。」





そう言ってしっかり受け取ってもらった。






「あ、そういえば、今日もちょっと辛そうだったけど大丈夫?」





「えっ?あ、はい。大丈夫です!」




元気です!と笑うリナはあの頃を思い出させるようだった。





今のリナはあの頃とは全然違う。それなのに、たまに見える面影に…。



笑顔に…。








犯人だという事実に…。





胸が押しつぶされるようだった。















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