コンプレックスな関係
「貴弥……」
振り返ると、貴弥が首を傾げて私を見下ろしていた。
「遅いっ‼」
貴弥の腕が巻き付いてるせいか、密着度が高くて、私の心臓がドキドキどころか、バクバクと音を立てる。
「悪い。少し寄る所があってさ。ーーもしかして、心配した?」
ニヤリ。
意地の悪い笑みを浮かべる貴弥。
そんな人を喰った表情も、貴弥がすると嫌味がなくて、寧ろなんだか色気みたいなものを感じてしまう。
そんな気持ちを隠したくて、私はついつい悪態をついてしまうんだ。
「子供じゃないんだから、心配なんてしてないわよ」
あぁ……
もう、本当にこの性格をどうにかしたい。
こっそり落ち込んでいると、貴弥の手が私の頭を撫でた。