コンプレックスな関係


家に帰っても、陽典君の言葉がぐるぐると頭を巡る。


あんな風に言われたこと、ない。


もしあれが貴弥だったら…


なんて妄想までしてしまう。


あぁ。もう思考がめちゃくちゃだ。


言ったのは陽典君なのに、脳内で貴弥に変換されるとか。


陽典君に失礼すぎる。


そして、自分が気持ち悪過ぎる。


「あーっ‼もうっ‼」


寝れるわけないじゃない。


ぶっちゃけ、陽典君のことを引きずってなかったと言えば嘘だ。


気持ちの整理が付かないまま空中分解したんだから、引きずらないわけない。


だけど、それ以上に貴弥が好きっていうのがあった。


そうだよ。


私が好きなのは貴弥なの!


……なのになんで?


なんでこんなに心が痛いんだろう。


なんで私の心は、こんなに激しく揺れてるんだろう。


人生で初めて告白されて浮かれてる?


なんか違う気がする。


陽典君の切ない笑顔が、頭にこびり付いて離れない。


貴弥。


助けて。


貴弥に会いたい。


貴弥に会えば、きっとこんなのは一時の気の迷いで終わる。


貴弥。


あなたは今、どこで何をしてるの?


ふと携帯を手にした。


無意識だった。


気付いたら、私は貴弥の携帯を呼び出していた。





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