コンプレックスな関係

美和ちゃんにじっ…と睨まれて、貴弥が溜息を吐いた。


「ドウモアリガトウゴザイマシタ」


ありがとうなんて微塵も思ってない棒読み。


貴弥らしいというかなんと言うか…。


「もういいわ。疲れたし帰る。じゃあね」


何もかもがしんどい。


私の中で燻っている貴弥への想い。


それは私だけで、やっぱり貴弥の中では終わったこととして片付けられているんだろうな。


やっぱり、という感じ。


貴弥は私が好きで付き合ってくれていたわけじゃない。


最初から最後まで、好きだったのは私だけで


貴弥にとっては都合良く女の子を切るために、彼女という立場を私にくれていただけ。


貴弥の女好きなんて承知で付き合い初めたのに。


覚悟、していたのに。


浮気されるたびに私のに心は凍りついて、何も感じないフリをすることを覚えた。


浮気しないで、と言えたらどれほど楽だっただろう。


けど、それを言ったら終わってしまう気がして言えなかった。


どんなに浮気されても、嫌いになれなかった。