緋~隠された恋情
「あなた大丈夫?」

道路に座り込んでる私の声をかけたのは、

見たことのない人

こんな時間にこの商店街で開いているのは真央ぐらいなのに、

そして今夜は貸切なのに。

「大丈夫です。あの…」

「同僚がここに下宿してるので、

 以前お世話になった方の快気祝いの会にお邪魔しに来たんです。」

「兄の?」

「まあ、仲野さんの妹さん?

 初めまして、鮎川 野乃(あゆかわ のの)と申します。

 お兄様には仕事でいろいろお世話になったんです。」


その人はくるんとしたまあるい目であたしを見つめて

右手を出して、人懐っこく笑った。


誰かに似てるそう思った。


私はおずおずとその手を掴むと


「初めまして、妹のありさです。」

と挨拶をしながら、


ああ、そうか、と思い当たった。

お兄ちゃんに似てるんだ。

キラキラした太陽みたいな笑顔。






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