緋~隠された恋情
愛する人に抱かれるということは

こんなにも満たされるのだと

改めて思い知らされた。



宣言したように

髪の一本一本から足の先まで、

丁寧に磨かれて、

その上からすべて舐め上げられ、

まさに染め上げられていく


やけどだらけで硬くなった器用な大きな手は

私の全てをなで上げる。


「ありさ綺麗だ。

 この世の誰よりどんなものより綺麗だよ」


そう言ってたくさんのキスを降らせる。


時折かけられるそんな一言一言で

何度も泣かされて、


泣きながら何度も高みを見せられて、

涙でぐしゃぐしゃになってしまった。


何度めかの高ぶりの時一瞬大きく息を漏らしたお兄ちゃんが

私の中に熱い飛沫を吐き出し果てた。


私たちはそのまま、

生まれたままの姿で抱き合って眠る。


ああ、神様。

私たちはこうなるように生まれてきたのだと

 そう思うことは許されるのでしょうか。


 止まらない涙は何度も何度もお兄ちゃんの胸を濡らした。









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