緋～隠された恋情
久しぶりに会ったありさは、

俺の知っているありさとは少し違っていた。

あそこの地域は買い上げられもうすぐ取り壊されると聞いている。

まだ、着工はしていないようだが、

ゴーストタウンのようになっている。


あのあと何度か行ってみたが、

ありさたちがどうしたのか知る人はいなかった。

二人でどこかの土地で暮らしていると思っていた。

こんな近くで、しかも一人でいたなんて、

手を伸ばせば届いたかもしれなかったのか。


「ちょっと、仲野先生大丈夫？」

水樹たちと飲みすぎたのか

酔いつぶれたありさ。

馬鹿だなあ、酒弱いくせに。

「俺送っていくよ。」


「植木、彼女の家分かるのか？」

「いや、でも…」

「なら、渡せないな。

　お前が彼女の知り合いなのはわかったが、

　女の子ひとりをお前に渡すってのは、悪いができない。」


「は、信用ないなあ。」


「信用なんて、できるか？

　お前に預けたら食われかねない。

　僕はお前の昔からの知り合いだからな。

　悪いが、

　女に関して信用はしてない」


「ならどうするんだ。」


「うちに連れて行く。


　妹の知り合いだし、

　妹と一緒なら間違いは起こらんからな」


「信用はならないか、勝手にしろよ」


そうなんだ、繋がった縁はもうここまでか。

どっちにしろ

切らなければならないやつだったが。








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