緋~隠された恋情
合コンがお開きになり、

ありさの同僚が絡んできて、

どうやら持ち帰りを期待していたようだったが、

丁重にお断りして、マンションに一人戻った。


思い出すのはありさのことばかり

俺は結局何年もかけて

あいつらを無くして苦痛をだけを味わった。


いや、それを望んでいたのかもしれない。


血の繋がらない擬似家族というものをあいつらに求め、

壊そうとしながら、

手放せずジレンマの中で溺れていた。


常識とか非常識とか、

何が正しいとか何が正しくないとか、

そんなものの上に感情はない。


ましてや恋情というものは厄介で、

自覚した時にはとんでもない方向に流れていってしまっている。

俺の恋情は、

新と、ありさへと向けられ、憎しみという形で現れた。


二人の存在を俺の手で壊したかった。

それが、

何にもならないと分かっていても、

それをやめることはできなかった。


ありさの自殺未遂で初めて

自分の愚かさと、

生きていて欲しいという新たな感情が芽生えたのだ。


そして、自分の歪んだ感情がありさを壊すことをおそれ、



最後の最後で愛と言う感情が

二人の元を離れることを選んだ。
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