緋~隠された恋情
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「……だから、

 ちゃんと結婚したいってことは、

 気をつけないってことですよ。」


「気をつけないって?」


「あれですよ、

 恋人ってことは、もちろんしてるでしょ?

 アレ。」


「あれ?

 アレって何?」


「んっもうっ!セックスですよSEX!

 結婚するってことはあれつけないでやり放題するってことです。」


「ちょっと水樹センセっ声大きいですって。

 酔っ払いすぎです。」

居酒屋で、

お酒飲みながらの話とはいえ、

ちょっと公衆の面前で話すことじゃないでしょう?


「ああ、何となくショックだなあ。」


「え?何が?」


「気を悪くしないでくださいね~?

 私ぃ~仲間先生のお兄さんちょっといいなあとか思ってて、

 いっそ仲間先生はうちのお兄ちゃんとくっついてもらって、

 私のこと好きになってもらうとかあったらいいなあなんて、

 妄想しちゃってたわけですよ~っ

 あ~妄想とか止められないですから~

 悪く思わないでくださいね。」


「あ、うん」

「兄だって、仲間先生のことスキみたいなんですよ。

 口では違うとか言ってますけどね~。

 あああ、兄妹そろって本格的に失恋だね。

 っていうか、お二人は最初から両想いだったくらいだから、

 初めから入る余地なんてなかったんですけどね~。」

ええっ??

そんな、こんなとこでカミングアウトされても、

って、寝てるじゃないですか?


「水樹センセ~ってばあ!!」






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