緋~隠された恋情
「油絵だ」

「Takizawa 、ああ、滝沢の絵だな。

 ほら、鮎川さんの恋人、滝沢遥火(たきざわはるか)の絵だな。

 へえ、油絵とかも描くんだな、めずらしい。

 デザインの方が、メインで活動してるっぽかったよね。

『一樹の蔭一河の流れ』? どういう意味だろ」

「ああ、これか……」


スマフォで検索して出てきたのは

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一樹の蔭一河の流れも他生の縁


ことわざ

一樹の蔭一河の流れも他生の縁
(イチジュのカゲイチガのナガれもタショウのエン)

この世で生じる出来事はすべて運命であり、
ぞんざいに扱ってはいけないという意味の諺。

知らない者同士が偶然木の陰で雨宿りをしたり、
同じ川の水を飲むことは、
すべてめぐり合わせであるということが由来とされている。

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「深いな。」

「さすが芸術家だな、
 こういうタイトルで結婚祝いとか。」

「いや、俺たちにピッタリな言葉だと思う。」

「そうか?それに、

 なんかよくわからんな?どっちが上だ?」

「う~ん、名前が下に書いてあるから、

 こっちじゃないか?」

「よかったお前も俺と同じ程度で。」

「凡人ですから。」

「よく言うぜ、イケメンコロッケ職人!」

「やめてくださいよ、

もういい年だし、

それに、今はしがないサラリーマンですよ。」







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