緋~隠された恋情
人の繋がりなんて、

簡単には切ることはできない。

樹の枝を切っても再生するように、

生きていけば必ず形を変えて再生する。


他人だった俺たちが

出会い。家族となり、兄妹になった。

お互いを愛し合い、

恋をして、

苦しんだ末に

恋人となった。

兄妹としての形を捨てても、

結婚という形を変えて、

夫婦という家族を作る。


俺たちはこうなる運命だった。

そう信じて、

これから起きるどんな事からもありさを守っていこう。

今日教会で流したありさの涙に誓って。




「ありさ。」

「あ、新。」

「どうした?」

「みんなが写真撮ろうって。」

「ちゃんと化粧直したのか?」


「え?」

あわてて顔を隠そうとするありさに

「大丈夫、超可愛いよ!」

そう言って片目をつぶって笑った。

「うん、もう意地悪!」

片手をふりあげて、怒るありさは、

着飾って澄まし顔だった顔より100倍可愛かった。

「愛してるよ。」

そんな俺の言葉に

うれしそうに笑った顔はこの何百倍も愛おしかった。

そっとつないできた手が、

俺の指に絡まる。

「誓うよ」


「ん?」


「その笑顔一生守り続ける。」

「ばかっ!」

「は?」


「せっかくお化粧直したのに、

また流れちゃうじゃない。」

目の端を押さえながら、

ぼそっと呟いた。


「写真撮ったら、もう一度お願い。」


何度でも言うよ



俺たちの絆は形を変えて何度だって再生する。



俺が愛する気持ちは、

変わらないのだから。


愛してる……







FIN.




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