緋~隠された恋情
「鉄平はダメ。

 そのかわり僕が見て来てあげる。


 徹平の部屋、誰がいるのか僕が見て来てあげる。

 ね?」


にこりと笑って俺の手をとる。

けれどその笑顔はすぐに歪み


「…ああ


 でも、殺しちゃうかも、

 そいつがもし、

 徹平取り上げようとするやつだったら、

 僕、殺しちゃうかもしれない。」


クスクスと笑うその顔は、

すでに表情が見えない。


「シオン!」


狂っているのか。


「シオン待って!」


つながれた金属の輪が

乾いた嫌な音を鳴らし俺をバスルームにつなぎとめる。


「シオン!やめて!」


そして、シオンは姿を消した。


もう部屋を出たらしい。


すでに俺の声は届かない。


シオン










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