緋~隠された恋情
その日の夜、


「徹平の部屋に明かりが付いてる。」


そうシオンが不安そうに俺に訴えてきた。


会社を無断欠勤しているから、

誰かが気づいて探しに来たのかもしれない。

さすgに無断欠勤がこうも続くとまずいな。


「シオン、騒ぎが大きくならないように一度会社に連絡する。」




シオンは首を大きく振ると、


俺にしがみついてきた。


「…嫌だ、婚約者と話すんでしょ?」


噛み付くように唇を重ね唇に歯を立てた。

口に鉄の味が広がった。


シオンは美味しそうに溢れてくる血液を舐めながら

悲しそうに顔を歪めて俺を見下ろしていた。


今までも何度も、会社に連絡を取ろうと試みた。

けれどひどくシオンが嫌がり、携帯や電話すらどこかに隠してしまった。



「シオン。 やめようこんなこと。

 会社もこのままじゃクビになる。

 それにもう、

 誰か気がついて俺を探しに来てるとしたら

 騒ぎになってるかもしれない。


 これじゃあ。君が犯罪者になってしまうよ。」



シオンはふふっと笑って


「逃げるの?

 逃げたいんでしょ僕から…

 徹平はこんな僕が嫌いになったんだね。」


「そうじゃなくて…」





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