鬼畜店長

「…え、今日から?!」


「んだよ?なんか文句あんのかよ?」


「あたしは連休からだとばっかり…じゃあ今日早くに上がって最低限の荷物まとめてきてもいいですか?」


「そんなこと許されるわけないだろ。シフトの時間通り働け」


「あたし今日ラストなんですけど…」


「そのあと取りに行けばいいだろ。俺寝てても鍵で勝手に入ってこられるんだし」



……さすが横暴を極めた人間は言うことが違うぜ!




「わかりましたよ。まぁ当面の着替えとかだけなんでそんなに時間かからないと思いますが…せめて起きて待っててくださいよ!」


「それはほら。俺って睡魔に勝てない人間だから」


「最初から戦う意思がないからじゃないですか。そしてサラッと流してましたけど、あたしが掃除洗濯係りなんですか?」


「当たり前だろ。俺が料理を全面的にやってやるんだから、それと同等の働きをしろ」


「そっか!店長の料理が毎日食べられるんだ!それはものすごく嬉しいです!掃除でも洗濯でもどんと来い!」




あたし完全に胃袋掴まれてるからね。

毎日店長の手料理だなんて幸せだなあ。




「お前な…俺以外に餌付けられるなよ」


「大丈夫ですよ。あたし店長のご飯が一番大好きなんで。あ、もう休憩終わっちゃうじゃないですか店長のせいで全然休めなかった」


「…俺のせいじゃないだろアホ。ほら、さっさと仕事戻れ」






バイトちゃんが出ていったバックヤードに一人残された店長。



「あいつマジ馬鹿可愛過ぎだろ」



その顔がほんのり赤かったことは誰も知らない。




END



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