鬼畜店長

「これ見てください」


店長にLINE画面をみせる。




「え、お前の母ちゃん賢者の石持ってんのか。すげえな」


「そこじゃないっす店長!その下!」



賢者の石は今どうでもよいのですよ!



「あー…俺も行かなきゃいけない感じね」


「そうなんです。どうしましょう」



そう。母親からのLINEには、秘密の部屋を見つけたとか死の秘宝をゲットしたとかそんなどうでもいいことじゃなくて、

「今度敬老の日でしょ?おじいちゃんおばあちゃんが死ぬ前にあんたの彼氏見たいって言ってたから、連れて帰ってきて。帰ってこないと仕送り減らすから。よろしく」という何とも脅迫めいた文章が連なっていた。




「…じいちゃんばあちゃん病気かなんかしてんのか?」


「いや、二人ともピンピンしてます。長寿のギネスに載ることが目標だそうです」


「…めっちゃ元気じゃねーかよ」



そうなのだ。なのになんでこのタイミングで店長に会いたいなんて言うんだろうか。



「でも、あれですよね、お店もあるし、三連休なんて稼ぎ時だし、予約も入ってるし、第一言うのが急過ぎだし、いけないっすよね?」


「なんだお前はじいちゃんばあちゃんに俺を紹介したくないって言うのか?」


「そんなわけないじゃないっすか。店長にはお世話になっておりますし、店長が彼氏とかあたしの自慢なんで、むしろ自慢したいです」





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