鬼畜店長

「ただいまーっと」

「ただいまおかえりー!」

「はい、おかえりー。あんま騒ぐなよ、もう遅いんだから」


もう遅い。
その通り、現在の時刻深夜2時。

こんな時間にケーキだなんて、店長はあたしを丸くしたいんだろうか。




「ほらよ。メリークリスマス」

「きゃー店長!…あれ?」



今日散々運んだケーキと違う!

今年の店長オリジナルケーキは、王道ショートに3種のベリーをふんだんに乗せ、さらに特別ソースで爽やかに甘すぎないシンプルケーキだったはずだ。


でも今目の前に現れたケーキは、チョコレートベースの、とっても可愛い切り株ケーキ。

ブッシュドノエルってやつだ。



「店長、これ…」


「お前、こういうゴテゴテした甘いの好きだろ。だから作ってみた。お前用の特別版」


「店長…!!もう本当に好き!店長大好き!」



そんなこと言われて嬉しくない女の子がいようか!いや、いまい!


嬉しすぎて店長の腰に突進してしまったが、なんなく受け止めてくれました。



「お前はボキャブラリーがねぇな。好きも大好きも何回も聞いたっつの」


「じゃあ愛してる!」


腰に抱きついたまま、店長の顔を見上げて、あたしが知っている最上級の愛の言葉を伝えてみた。



「……はいこのケーキは明日食べような。」


「へ?なんでこのタイミングでおあずけなんですか!」


「それはお前が悪いよ。うん。このタイミングであれは、どう考えてもお前が悪い。ということで、こっち来い」



え、なんでベッド?





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