愛を知る日まで




独り占めしたい。いつだって傍にいたい。恋人と呼びたい。俺だけを見て欲しい。真陽の全部が、欲しい。


苦しくて、胸が張り裂けそうで、切なくて切なくて。



けれど。



彼女を失う事は、もっと出来なくて。





「…俺、今のままでいいから。我慢するから。」



嗚咽を堪えながら伝えた自分の吐息が熱く感じた。


「…ねえ、真陽。俺のコト、好き?」

「…好きだよ。大好き。」

「…うん。ならいいや。」



たった二文字の、その言葉だけが俺の心を救ってくれる。



―――好き。



俺たちにはそれしかない。


沢山の約束と祝福を抱えている婚約者と違って


俺たちを繋いでるものは、それしかないのだから。









< 122 / 227 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop