愛を知る日まで








夜の逢瀬は短い。


どうしても真陽の仕事が終わる時間と婚約者が家にいる時間が被るから。


ぬくもり園の勤務時間は不定期だから、真陽がうちに来れる時間もまちまちだ。


その中でも、婚約者と生活時間がすれ違う事で俺と長く一緒に過ごせる夜勤明けが、俺は一番待ち遠しかった。




「すいません、来週、俺、夜勤に回っていいですか?」


だから、俺もそれに併せてバイトの勤務時間を組んだ。


「構わないよ。今、夜の方が人手少ないから助かるわ。」


時給と通いやすさで選んだバイト先だったけど、シフトの融通が利く事が今では一番の魅力になっている。


「あ、柏原くん。変わりにってワケじゃ無いけど、来週の土曜日出てもらえないかな。連勤になっちゃって悪いんだけど。」


「ああ、いいですよ。平気です。」


融通が利くのはお互い様だ。

俺は真陽と逢う時間以外は急な出勤も請け負ってやってたので割と重宝されていた。




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