愛を知る日まで






帰る時、施設の玄関でちょうど学校から帰ってきたガキとすれ違った。


見たことのない大人がいた事にガキは一瞬ビックリした顔をしたけど、ペコリと頭を下げるとそのまま廊下を走っていって


「洞島のおっちゃん!サッカーやろうぜ!」

と職員室に駆け込んだ。


洞島さんの「おう!やるぞ!」と云う威勢のいい声と

北見さんの「宿題終わってからよ!」と否める声

そして狭山さんの笑い声を聞きながら



俺と雉さんはみどり学園を後にした。










「どう?やっていけそう?…って聞くまでも無いわね。」


帰りの駅のホームで、雉さんが俺の顔を見て言った。



「あそこなら間違いなく、貴方を成長させてくれるわ。」


確信と云えるほどの強さを持ってそう告げた雉さんに、俺はしっかりと頷き


「ありがとう、雉さん。俺、絶対一人前になってくるから。」


そう約束した。














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