愛を知る日まで
11月の最後の日。
業者に荷物を全て運んでもらった俺は、一人電車で東京を出発した。
人混みの駅を歩きながら、しばらくこの喧騒ともお別れかなんて、似合わないことを考える。
自分でも驚くよ。
まさかこんな決意を持って東京を離れる日が来ようなんて、ちょっと前の俺なら夢にも思わなかった。
自分が嫌いで運命を憎んで他人なんかみんな死んじまえって思ってた俺が。
今は、未来を夢見て自分を信じて旅立とうとしている。
「すげーなぁ、俺…」
しみじみ自分に感心して、口の中で呟いた。