下剋上彼氏
ーーーーと、言いつつ心配で様子を見ると…
「俺の代わりに、会計してくれる?」
色気オーラを漂わせ、女子に仕事を押しつけていた。
「はっはい。貝斗君の側に居れるなら!」
目を放した私が、ばかだった。
ついでに、心配してた私も。
「浅森ーっ!」
私の一言で、自分で仕事をし始めたんだけど。
超がつくほどご機嫌ななめ。
「あっ浅森?えっと…もう夕方何だけど?」
「…だから何?」
低い声で返事が返ってきた。
「わっ私帰るよ?」
生徒会長として戸締まりをしないといけない。
皆帰っちゃって、二人だけ
…見ての通り気まずい。
「帰る?」
急に反応すると席から立って、ずかずかと歩いてきた。
一瞬にして壁に追い詰められた。
そして、私の頭の両方の横に手を置くと、顔を唇が触れるか触れないくらいで近づけてきた。
ーーーーっ!
息が肌をくすぐるようにあたる。身体が、固くなって息が止まる。
真っ白になった頭を使って状況を把握しようとする。
その時、あいつが唇を動かした。息づかいが分かる。
「ーーーーと思う?」
真っ白になった頭では、もう何も入ってこない。
もう一度…
「逃がすと思った?」