青いブレスレット
「散らかってても笑わないでね?」

「笑わないって」


ドアを開けると、不自然なくらい物が綺麗に並んでいる部屋。

ハンガーや箱ティッシュの角度まで、まるで分度器で測ったような………。


俺が来るから、いつも以上に整理整頓したんだな、と思った。



「全然散らかってないね」

「はは、水原くん来る直前までずっと部屋チェックしてたんだ…」


そう言って笑う雪川さんが、やっぱり可愛い。



「そうだ、わたし水原くんのためにチーズケーキ焼いたんだよ」

「え?」

「でも、水原くんがくれたケーキのほうがおいしいよね。そっちのほう食べる?」

「チーズケーキがいい」


俺が買ってきたケーキより雪川さんが作ったケーキのほうが食べたいに決まってる。


「…水原くん、チーズケーキ好きだったの?知らなかったー!」

「………ん?」

「ちょうどよかったー!じゃあとってくるね!」



雪川さんは小走りで階段を降りていった。



チーズケーキだから食べたかったわけじゃないのに………。
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