青いブレスレット
「水原!サキちゃんと別れたってマジ!?」

「ああ」


次の日学校へ行くと、どこから聞きつけたのか、西野が聞いてきた。


「お前長続きしないって言ってたけど、ホントだったんだなー。かわいそ」

「何がかわいそうなんだよ。お前だって長続きしてないだろ」



西野の方こそ、彼女がコロコロ変わる。

その度に、俺に話してくる。



「かわいそうってそういう意味じゃないんだよなー。恋を知らなくてかわいそうってこと」

「なんだそれ」

「お前は本当に人を好きになったことがないから分かんないんだよ。恋する気持ちが」



恋する気持ち?

たしかに分からない。

人を好きになったことなんて、一度もないから。



「じゃあどういう気持ちなんだよ。恋する気持ちってのは」

西野は俺の顔を見て、ニヤリとした。



「教えてやろう。まず人は恋するとおかしくなる」

「はあ?」

「恋の相手の姿を見かけるだけで一生分の幸せを手にした気分になる。他の男と一緒にいる姿を見たらこの世の終わりのような気分になる。わかるか?」


…分からない。

そんな小さいことで一喜一憂するのが恋?



「…分からんって顔してるな。まあお前も恋すれば分かるよ」



西野は手を振って行ってしまった。



バカらしい。

そんなものが恋なら、俺には縁がなさそうだな。


そのときは、そう思っていた。
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