青いブレスレット
「水原くん、数学のノート貸してくれないかな?」


休み時間、クラスの女の子がそう声をかけてきた。



「いいよ」

ノートを渡すと、お礼を言ってニコニコしながら走って行った。



「おーおー、水原くんモテますねえ」

「…またお前か」



こういうとき、必ず西野は見ていて、からかってくる気がする。



「水原ほんと女の子に好かれるよな」

「別にそうでもないよ」

「じゃあなんで女の子はみんなお前のノートばっかり借りたがるんだろうね〜」

「少なくともお前のノートより見やすいからだろ」

「なんだと!」



西野が頬をつねってくる。

…痛い。



「西野ー、エリカが呼んでるよー」


教室の外から西野の友達が西野を呼んでいる。


「いま行くー。水原、行くぞ」

「?なんで俺が」



西野に腕を掴まれ、教室の外まで引っ張っていかれる。

廊下に出ると、西野の友達と女の子が立っていた。


女の子はかなり派手で、髪は明るい茶色で巻いていて、制服は着崩している。


「初めましてー!水原透くんだよねえ?」

「…うん」


なんで俺のこと知ってんだ。

西野か?



「あたし新田エリカって言うの!隣のFクラスでー」


新田という女の子が話している途中に、西野が耳打ちする。



「この子はどう?イケる?」



………この子がイケるかどうか?




「イケない」



なるほど、今度こそ俺が惚れると思って連れ出したのか。

でも、そんな気は微塵も起きない。

てか、もう俺一生恋できないんじゃ…



そんなことを考えていた、そのときだった。
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